Yurindie

創作百合作品の紹介をしています。

やめます

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 突然ですが、本日をもって当ブログ及びTwitterアカウントの更新を全て終了します。理由は複合的なもので、全部説明すると言い訳がましくなるので割愛させていただきます。ここ最近はブログの更新ではなくTwitterのみで紹介する形に縮小してやっていましたがそれも途絶えがちになり、より簡素な方法で続けていくことも考えましたが、一回走るのを止めてしまうと再加速するのも難しく、いっそ全てやめてしまったほうが潔いと決断しました。 

 去年2月から始めて1年と9ヶ月という短い間でしたが、その間に創作百合のシーンは大きく変わったように思います(もちろん、良いほうの変化です)。その変化を間近に見てこれたことはとても面白かったし、これからも個人的になんらかの形でひっそりと創作百合の世界に関わっていくつもりです。 

 ブログとTwitterのアカウントは当面残しておきますが、今後特に何かを発信することはありません(たまにROMっていい百合があれば、いいね!ぐらいはつけるかもしれません)。 

 短い間でしたが、今まで本当にありがとうございました。

 

さいとう(@YurindieJP)





ーーーここから先は自己満足の文章なので読みたい方だけ読んでくださいーーー

 


1.言い訳

 やっぱり少し言い訳してみます。上記でもやめる理由は複合的なものだと書きましたがそのとおりで、これといった決定打となる大きな理由はありません。平たくいえば、自分の脳みその限界です。趣味が多い人間ゆえやることを増やしすぎてしまって、結局どれも半端にしか手がつけられない、という状況がしばらく続きストレスになっていたため、自分の生活のなかでよっぽど優先順位が高いものだけを残していこうとした結果こうなりました。

 ちなみに優先順位が高いものとして残したもののひとつが創作活動(漫画、小説)で、これはYurindieを始めてから数多くの百合作品に触発された結果始めたものなので、今後そういう形で創作百合の世界に関わり続けられればいいなあと思っています。


2.反省

 これは最初からうすうす気付いていたのですが、Yurindieをやっていくうえで、人の作品を自分の言葉で表現することの難しさにもっとも悩まされることになりました。いわゆる「語彙力がない」というやつですね。これまでの人生で数多くの作品に触れてきましたが、曖昧な感覚でしか作品を捉えられていなかったことを痛感させられたように思います。作品を紹介するなかで、実際に間違えた解釈をしていたこともあったりして、失礼なことをしたなあと反省しきりです。

 あと、途中から漫画だけでなく小説作品等もとりあげるようにはしたのですが、それ以降も漫画に多く偏ってしまったなあというのが心残りです。百合文芸コンテストの投稿作などもある程度読みましたが、百合小説の世界にもまだ大きなポテンシャルがあると感じています。


3.自分がこの2年間に創作百合作品から受けた影響

 Yurindieを始める少し前までは、コミティアに行くたび百合ばかり漁っている自分に焦りを感じることが多々ありました。限りある時間のなかで百合を優先して漁るばかりに他のジャンルの良い作品を逃しているのではないか、一つのジャンルに拘ることで価値観や好みの幅が狭まってしまうのではないか、という危機感を勝手に抱いていたとでもいいますか。

 しかし、2017年秋のコミティアで買ったいとうさんの『最悪にも程がある』を読んで衝撃を受け、「今の創作百合シーンには固執して漁るだけの価値がある」という考えに変わり、そして勢いでYurindieを始めてしまいます。しまいました。そしていろいろな創作百合作品や作家さん達をフォローしていくうち、単に面白い作品が多いというだけでなく、それらを通じて新しい価値観や自分が知らなかったルーツに触れることが却って多くなったように思います。

 とはいえまだまだ、そうやって新しく知ることができたものを自分にインプットできているかといえばそんなこともなく、積ん読が増えるいっぽうの日々なのですが、これから脳みその中身を整理しつつ新しいものを吸収していきたいなあと思っています。


4.この2年間の創作百合界隈について

 上にも書きましたが、Yurindieを始めてからの2年にも満たないうちに、創作百合界隈の状況はめまぐるしいスピードで変わっていったように思います。社会人百合(大人百合)が同人アンソロや自主イベントからボトムアップ的に盛り上がった結果、今や商業ベースでも市民権を得ていたり、コミティアやGLFに行かなくても全国の人が同人ショップで当たり前のように創作百合作品が買えるようになったり、ティアズマガジンのPush&Reviewで百合作品が取り上げられる枠が何倍にもなったり、同人作家さん自らTwitterに漫画をアップしてそれが万単位でバズっていたり(これは百合に限りませんが)という感じで、自分がここで作品を紹介した同人作家さんのなかにも、すでに商業媒体に行って売れっ子や注目の作家になってるケースが、一人や二人だけはなくたくさんいるはずです。漫画とは別の仕事をしながら、同人活動だけでなく商業誌や商業アンソロに作品が載る作家さん、またはいきなり単行本を出す百合作家さんも、ここ最近でぐっと増えた印象です。

 自分は今年の5月のコミティアで漫画のコピー本をひっそりと出したのですが、それを見てメロンブックスさんが委託してくれないかと声をかけてくれたということがありました。その時はコピー本なので委託は難しいですよね……というところで終わったのですが、8月コミティアのときにまたスペースに来てくれて、コピー本も取り扱えるようになったので委託してください!と再度お願いされ、(委託なので売れなくてもショップ側の腹は痛まないとはいえ)こんな底辺同人作家のコピー本を全国流通に乗せることができるようになったという現実の加速具合にくらくらしました。

 自分は音楽が好きなのですが、過去の音楽シーンにおいては、たった2・3年のうちに革命的なムーブメントが起こることがあり、しかしその当時自分は生まれてなかったりまだ子どもだったりして、後追いでそれを知るしかなかったという経験がいくらかあるのですが、2017年から2019年あたりの創作百合シーンの加速具合は、そういう憧れの時間をまさに体験できるものだったように思います。もちろん、2020年以降もそれが続くと信じたいですが、いやさすがにそろそろ落ち着きだすだろ、という気もしています。

 

5.まとめ(長い)

 自分は音楽が好きなのですが(2回目)、特にインディペンデントなパンク・ハードコアやオルタナティヴロックが好きで、若い頃から、彼らの音楽性だけでなくそのDIY精神(Do It Yourself.他人にコントロールされず自分のことは自分でやるという思想)に強い影響を受けてきました。

 いっぽう、自分は若いころから漫画が好きで、コミティアもお金が許すかぎり行くようにはしている程度に創作同人漫画に触れてきました。しかし読んでいる量で比較すると圧倒的に商業漫画のほうが多かったです。創作同人でもたまにすごい才能が出てきたりしますが、たいていは商業媒体に移って専業作家として成功したりしなかったりというルートを辿ります。コミティアなどで地道に同人活動を続ける方もいますが、規模としては小さく、エロでもないかぎり流通も限られたものでした。

 しかし、ここ2・3年の創作漫画界隈は、同人誌に限らずSNS等も含め、メジャーに対抗しうる力を持ってきているように思います。創作同人作品とSNSの力だけでも、無名な商業漫画家よりよっぽど有名になった方はいくらでもいますし、先にも書きましたが、創作界隈で有名になった作家さんが、商業媒体からオファーを受けて即連載・あるいはいきなり単行本の出版というケースがここ最近目立ちます。発展途上のジャンルである百合界隈は、その傾向が特に強いように思います。出版社に持ち込みに行ってタダでネームを出してボツを食らう、みたいな駆け出しの漫画家のイメージは旧時代のものになりつつあるのかもしれません。

 日本の漫画文化や百合文化は、世界の音楽文化とはその背景を異にするため単純な比較はできませんが、自分が憧れて育ったインディペンデントな音楽シーンと昨今の活気ある創作百合シーンをある程度重ねて見ていたことは否めず、それがYurindieを始めた理由でもあったように思います。音楽の世界に比べてメジャーVSインディーという明確な二極構造になっていないという点は大きく違うところですが、それでも、他人にコントロールされずプライドを持って自立した創作活動をしている方がぐっと多くなったなあと、ここ最近Twitterなどを見ていて思います。 

 なんかまとめきれませんが、そんな感じで、これからも創作百合の力は強くなっていくし、自分の人生も続いていくので、またどこか(百合島とか)でお会いできたら嬉しいです。さようなら。

 

cocoon/山田サササ(とろける新兵器)【漫画】

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住む家を失った社会人の主人公が、5人の女性が住む寮に入ることになるお話。コメディっぽくわちゃわちゃしてたり少し腹黒かったりほんわかしたり色んな要素が楽しめる3組の女女の関係性がとても良いです。天然×天然の主人公ふたりの組み合わせがふわふわしていて新鮮。

タイトル
cocoon
サークル
とろける新兵器
作家
山田サササ(Twitterpixiv
発行
2018.8(COMITIA125)


【作者さん】

 

【みんなの感想】

 

さけのうおでんもうにむらがる 鱖魚群電網/いとう(Golem,Inc.)【漫画】

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料理に命を削った女たちのカニ…(レオパレスの隙間から入ってくるやつじゃないやつ)の料理の話、80'sエスパー志望少女と時をかけるストーカーの話、アンドロイドと童顔東洋人研究者の女の話、の3つのSF百合掌編を収録した作品集。とても短い話ばかりだけど、どれもキャラが立ちまくっていてディテールが凝っているので、背景をいろいろと想像で補うのもまた楽しい。

タイトル
さけのうおでんもうにむらがる 鱖魚群電網
サークル
Golem,Inc.
作家
いとう(TwitterpixivBOOTH
発行
2019.2(COMITIA127)


【販売】



【作者さん】

 

【みんなの感想】

 

#わすれてしまうわたしたち/チル田(でかい犬)【漫画】

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配信では電波系でアホみたいに明るいのに、現実に会ってみると人見知りでメンヘラなアイドルYoutuberにはまってしまう女の話。情報が常に加速しつづけ新しい娯楽が次々と供給される現代において、炎上しようと何をしようとすぐに忘れられてしまう存在の軽さという絶望と、細い糸でかろうじてつながり続けた愛が、ガサついた絵によってブルータルなエモみを増して襲いかかる最高の一作。

タイトル
#わすれてしまうわたしたち
サークル
でかい犬
作家
チル田(TwitterpixivBOOTH
発行
2019.2(COMITIA127)


【販売】



【作者さん】

 

【みんなの感想】

 

半分あげる/今東ももこ(抜歯)【漫画】

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ぶらりと行った関西コミティアでみつけてきた女子高生百合作品。好きな子と一緒の大学に行けないことを知って悲嘆に暮れたり、変な夢を見たり、繊細にぐるぐると思い悩む片想い思春期JKがかわいらしい。80'sリバイバルな作風と少し不思議な独特の雰囲気が印象的な作家さんで、自分は今回始めて知ったのですが、COMICリュウでデビューされてるみたいです。

タイトル
半分あげる
サークル
抜歯
作家
今東ももこ(Twitter
発行
2019.1(関西COMITIA54)


【作者さん】

 

himegoto/清水ひかりの(ときめきか ざわめきか)【漫画】

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社会人のお姉さん(処女)と元カレの妹(非処女)の百合。ポップな絵柄と勢いがある線で描かれるお姉さんの豊満な身体と、自信満々な妹ちゃんのキャラクターとがとても良いです。ストーリーとしては読み切りではなく、冬コミ発行の「Renjoh.」に続きます。


タイトル
himegoto
サークル
ときめきか ざわめきか
作家
清水ひかりの(Twitterpixiv
発行
2018.11(COMITIA126)


【販売】




【作者さん】




【みんなの感想】

 

 

BLUE MONDAY/帷子帷(ricalanduse)【漫画】

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ある日、仲の良かった女子中学生三人が電車に飛び込んで自殺した。少女たちのうち一人が登校拒否になって以降、担当の女教師が彼女の人間関係について聞き込みをしていくうちに何かが狂い始めていく様子がインタビュー形式で淡々と描かれる。New Orderの名曲“Blue Monday”の歌詞がずーんと来る陰鬱な一作。

タイトル
BLUE MONDAY
サークル
ricalanduse
作家
帷子帷(TwitterpixivBOOTH
発行
2018.11(COMITIA126)
備考
コピー誌。グロ・胸糞描写あり。



【作者さん】

 

【みんなの感想】