Yurindie

創作百合作品の紹介をしています。

つかず、はなれず/カワヅ(井庭人)【漫画】

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相手を性的な意味で好きな理系JDと、性的なことまではしたくないけど二人の関係に心地よさを感じている文系JDによる日常と葛藤を描いた一冊。想う形は違えど、それをふまえてお互いを尊重しあう関係が尊いです。「この世はきれいなねずみ色」(紀伊カンナ『魔法が使えなくても』より)ということを感じさせる、今どきの若者っぽい作品。

タイトル
つかず、はなれず
サークル
井庭人
作家
カワヅ(TwitterpixivBOOTH
発行
2018.11(九州COMITIA2)


【販売】



【作者さん】

 

【みんなの感想】

 

 

コミティアで百合同人誌を出してみました(同人誌の電子書籍版リリースのお知らせ)

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Twitterではすでにお知らせしていますが、私さいとうが8月のコミティアで出してみた同人誌の電子書籍(pdf)版をBOOTHで無料配布しております。

 

内容は以下のとおりです。

1.短編小説「I'm Alone Now」(全14ページ)
小説家と編集者の社会人百合。
中堅出版社勤務の編集者・晴香は、新進気鋭の小説家・間柴冬子の担当に配属される。晴香は他人との関わりを拒絶して小説を書くだけの孤高の生活を送る冬子に対して、もっといろんな経験をして広い世界を知るべきだと思っていたところ、ある出来事がきっかけでふたりの仲は急接近し……。

2.短編小説「We're Alone Now」(全7ページ)
翻訳家の伯母とそのマネージャーをしている姪の大人百合。お互い想いを寄せながら、その血縁関係に縛られ、先へと踏み出せない二人のお話。

3.おまけ漫画「We're All Alone」(全3ページ)
「We're Alone Now」からの小ネタ的な漫画。

興味が湧いた方はお気軽にダウンロードしてみてください。よろしくお願いいたします。

 

コミティアで百合同人誌を出してみました(その2 参加申し込み~創作作業)

前回のエントリーでは、コミティアで同人誌を出してみようと思い至るまでの動機について書いていきましたが、今回は動機が整ってやる気になった後、実際に創作をするまでに自分がやったことを順番に追っていきます。

その1.とりあえず直近のコミティアに参加の申し込みをした。(開催日から約2ヶ月前まで)

いや、まだ何にも作ってないし、アイディアも全然思い浮かんでないし、ていうか出す本が漫画なのか小説なのか評論なのかすら決まってないんだけど……という弱気な自分の声を一切無視し、とりあえず次のコミティアに参加する、という既成事実を先に作ってしまうわけです。
大丈夫、二ヶ月あれば何か出来ますから(実際何かが出来た)。
今のタイミングだと次回コミティア(11月開催)の締切が過ぎていて、次次回(2月)のコミティアの申し込みが10月から受付開始になりますので、そこですぐ申し込んだらまだ4ヶ月以上の猶予があります。余裕ですよ。皆さんどんどん申し込んでみましょう。

申し込みは紙の参加申込書を送る方法と、インターネットからの方法の二通りがあります。締切はインターネットのほうが少し遅く設定されています。自分はインターネットのほうから申し込むことにしましたが、かかる手間は初めて利用するネット通販程度という感じで、わりと簡単でした。
サークルカットは締切までの間は後から差し替えることができるので、まだちゃんとしたものが出来ていなくても、とりあえず適当に作ったもの(文字だけ入れたものとか)を添付して申し込んでもOKです。


その2.普段頭の中で考えていることを咀嚼し、まずは頭の中でアウトプットしてみた。(開催日から約2ヶ月前~約3週間前)

平たく言えば空想の作業です(個人的には「妄想」と呼んでいるのですが、日本語的には違うみたいなので、「空想」としておきます)。
正直、開催日の約3週間ぐらい前までは、仕事とかが忙しくて何も具体的に動いていませんでした。でもなんとなく、こんなテーマの作品や文章を書きたいなーという案は、少しずつ頭のなかで固めていってました。
自分はわりとスマホとかインターネットに常に触れてツイッターをチェックしてなきゃ気が済まない中毒を患っているのですが、このような常に何かを受動している状態では空想の作業はできません。なのでとりあえずは、強制的にスマホやインターネットから離れる時間を作るようにしました。最初は、車で閉店後の道の駅に行って車の中で空想作業をしようと思ったのですが寝落ちしてしまうことが多く、結果として、家で風呂にちゃんと入って疲れをとりながら空想をするのが一番良いという結論に至りました(それまでは毎日シャワーで済ませていた)。

空想というのはギンギンに何かを考えよう、思いつこうとしてもだめなときはだめなもので、いいアイディアというのは、フッと脳みそが緩んだ瞬間に湧いてくることが多い気がします。まあこれは創作に限らず、仕事のアイディアとかでもそういう場合が多いですね。

風呂場で考えているうち、なんとなく、自分の空想したものを形にするには小説じゃないと難しいな、と思いはじめ、やるべきフォーマットが固まりはじめました。やっと。


その3.プロットを作ってみた。(開催日から約3週間前)

プロットというのは、キャラクターの案とかストーリーのあらすじみたいなものをとりあえず自分で作ったものだと捉えてください。
ディテールが決まってなくても、現時点で決まっている設定や導入・流れ・結末などをとりあえず書き留めておく程度でいいと思います。自分一人で創作する場合に絶対必要なものだとは思いませんが、何かしら書き留めておかないと、意外と自分でも設定を忘れてしまったり、本編を書いているときに気づかないうちに齟齬が生じていたりすることがあるので、それを防ぐ程度の意味合いで自分は作っています。とはいえ、めんどくさかったら省略してもいい工程だと思います。


その4.書けるところから本編を書き始めてみた。(開催日から約3週間前~数日前)

プロットができたらすぐに、書けるところ、書きたいところから執筆作業に着手します。順番はどうでもいいのです。ラストシーンから思いついたのであればラストシーンから書いてもいいと思います。思いついたところからどんどん書いていくにつれ、創作論でよく言われる「書いていくことでキャラが勝手に動き出す」という感覚がなんとなくわかったような気がします。

流れるような自然で綺麗な文章を書くという意味では、ストーリーのはじめから順番に書いていったほうが確かにいいかもしれませんが、少なくともまだ創作に慣れていない段階では、綺麗で完璧な文章を目指すより、より早く確実に話を作り上げることを目指したほうがいいと思います。

書けるところから書いていくと、逆にすぐに書けないところが浮かび上がってきますので、それを再度頭の中で整理して、必要なインプット作業をしたり、空想しなおしたりしながら、隙間を埋めていくように文章を完成させていきました。

というわけで一応そんな過程を経て、コミティア開催日の約5日前に、短編小説が二つほど出来上がりました。


ところで、小説というメディアは、一般的に義務教育レベルの国語を教わった人であれば、面白いかそうでないかは別として、誰でも形にすることができるというメリットがあります。
一方デメリットとしては、漫画に比べて手にとってもらいにくいとい点があります。その理由として、日本では小説よりも漫画のほうがポピュラーであるという点、コミティアのような現場ですぐに購入の可否を決めなければならない場所で、漫画に比べ短時間でその良し悪しを図りにくい(絵から作風がある程度予想できる漫画に比べ、文章を少し読んだだけでは作風まで予測するのが難しい)という点などが挙げられます。実際私も、時間が限られているなか見本誌コーナーとかで小説本を読んでみることはまず無いですし。

そういうこともあり、本当はSNSなどに予めサンプルを上げておくとか、何かしら「自分の小説はこんな感じですよー」という広報をしておいたほうが良いと思うのですが、自分はしませんでした。理由は、まだなんか恥ずかしかったからです。

まあ以上のような考えがあったからか、「活字だけの本で果たして手にとってもらえるのだろうか」という恐怖心が芽生え、もう二日後には印刷に着手しなければならないという状況で、私は休日のうち一日をフルに使って、表紙とおまけ漫画の計4ページを作ることにしました。

表紙については、それがあることによって作風・内容がイメージしやすくなる、というメリットがあるかなと思ったのが理由です。もし誰か自分が望む絵を描ける他人に依頼できるのであればそれがベストですが、絵を描ける知り合いもいなければ、無料配布の本のために他人に報酬を払うのも無茶な話で、そもそももうコミティア開催日まで数日しかない。ということで自分で描こう、という結論に至りました。
漫画については、こちらもそれがあることによって手にとってもらえやすくなるのではないかと思ったのと、小説で表現できなかった部分(二つ目の小説のほうは、一方的な独白の形式をとったので会話劇として入れたかった部分をカットした)が漫画の表現のほうが合っているのではないかと思ったのが理由です。

私は、創作物を他人に対して発表するという意味の創作活動は、今回が初めてのことになるのですが、実はコソコソと漫画を描いていた時期があったため、なんとか写真素材とかを参考にしつつ一日で表紙1ページ+漫画3ページを下手くそなシャーペン描きではあるものの作ることができました。本当はペン入れまでしようと思ったのですが、一筆目でいきなりミスをしてしまい、結局下書きからさらにシャーペンでトレスするというわけのわからないことをして、なんとか完成させました。急ごしらえで出来栄えはひどいものですが、自分にとっては形はどうであれ、一日で漫画を3ページ描けたという事実のほうが重要だったように思います。

漫画というメディアのメリット・デメリットは、先程小説のところで挙げたものの真逆だと思ってもらっていいでしょう。気軽に手にとってもらえやすくなる反面、漫画をそれらしい形にするために要する技術は、なかなか一朝一夕には身に付きません。

まだ漫画を描いたことがないけどこれから描いてみたい、という方向けの方法論は、世の中に出回っているいろんな本やWebサイトを参考にしてもらうとして、ここでは触れません。

また、まだ漫画を描いたことがないけど今すぐ描いて発表したい、という方がいる場合、もちろんそのスタンスは素晴らしいものだと思いますし、ぜひ実行してもらいたいものです。いつまでも自分が納得がいくものができるまで世の中に出したくないという姿勢は、私のような中年を量産するだけで何のメリットもありません。

なお、前回のエントリーで少し触れながらもすぐには読まないほうがいいと紹介した川崎昌平著「労働者のための漫画の描き方教室」(春秋社)ですが、この本は絵を描いたことがない人でもすぐに漫画を描いて発表するための実践論、「眉毛不要試論」「鼻腔不要試論」「背景不要試論」など過激な方法が紹介されていますので、やはりお勧めしておきます。

話は戻って、私が絵とか漫画を描いたのは多分十年ぶりぐらいじゃないかと思うのですが、この十年間いろんな新しいものに影響を受けたはずだし、それが絵に反映されてくれるかなーと思ったら全然そんなことはなく、出来上がったのはまんま十年前の自分の画風のそれでした。人間の技術というものは、インプットだけでは何も変わらないのだということを思い知らされた、良い経験でした。

今回は自分がした創作(小説・漫画)についてだけ語りましたが、同人誌における表現方法はそれに限らず、評論とかインタビューとか身内の閑談とか写真とかイラストとか、とにかく何でもありです。それらについても書ければよかったのですが、私も今回評論っぽい文章を書こうと思っていたものの全くうまくいかず、どこかにアップしようと思ってたけど内容に納得いかずお蔵入りにしていた文章を再利用するという結果に終わり、正直失敗したと思っているので、今回は小説と漫画に限った内容になってしまいました。

 

次回は、校正・製本について書いていこうと思います。

 

 

百合の研究vol.2/ZZZ.(Lilium Lab.)【評論】

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2017年現在の百合をリアルに切り取った、とても内容の濃い評論本。著者は多分若い方だと思うのですが、絵やデザインもお上手なのが個人的に羨ましい……。
主な内容は、2OL主催3木さんインタビュー、COMIC ExE「girls x garden」(現Avalon)担当編集さんインタビュー、百合の定義の変遷についての記事、百合イベントの男女比についての記事、の四つで、インタビュー含め全体的に百合ファンや創作者の男女比に関する内容が多くて興味深かったです。男女比って他のジャンルだとわりとどうでもいいと思ってるのですが、百合はその特性上切っても切り離せない話題だと思うので。
今年末のコミケで発行されるvol.3をもって最終号となる予定とのこと(現在準備号となるvol.2.5がBOOTHで発売中)。

タイトル
百合の研究vol.2
サークル
Lilium Lab.
作家
ZZZ.(座頭①)(TwitterpixivBOOTH
発行
2017.12(コミケ93)


【販売】

COMIC ZIN 通信販売/商品詳細 百合の研究vol.2



【作者さん】



【みんなの感想】

 

ブライトピンクのビタミン/ひなお(おんと)【漫画】

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今年に入ってTwitterに登場し、あっという間に有名になったひなおさんのコミティア新刊。主にTwitterで発表されていた4~8ページの掌編4作を収録。前作(「ゆりつめ」)もそうでしたが、幸せのなかに潜むどうしようもない不安や不安定さを描くのがとても上手いです。

タイトル
ブライトピンクのビタミン
サークル
おんと
作家
ひなお(Twitterpixiv
発行
2018.8(COMITIA125)


【販売】


 
【作者さん】



 

コミティアで百合同人誌を出してみました(その1 動機について)

去る8月19日(日)に開催されたコミティア125に、SUBURBAN HOMEというサークル名で参加し、無料配布の百合同人誌を出してきました。自分が同人誌即売会にサークル参加するのも、なんらかの創作物を世に出すのも、この歳にして初めての経験だったのですがわりと楽しかったので、それについて数回に分けてしたためていきたいと思います。

なんのためにそんなものを書くかと言うと、これは、「みんなも軽いノリで創作活動やってみようぜ(同人誌作ってみようぜ)」という、そういうあれです。

初回の本エントリーでは、まずコミティアにサークル参加しようと思い至るまでの動機のところから触れていこうかなと思います。

こう言ってはなんですが、創作活動をするのに動機なんか必要あるか?という人は、人に言われなくてもとっくに創作活動をしてるんじゃないかと思います。ですがこの文章をどんな人に向けて届けたいかということを考えた場合、動機というのは大事な要素かなと思ったので、最初のエントリーはまるまるそこに割くことにしました。「軽いノリで創作活動やってみようぜ」とは言ったものの、「軽いノリ」に至るまでにも動機が必要だよね、という話です。

 ここでは、あくまで自分を例にしてその動機についてしたためていくのですが、これに限らず、今回のコミティア参加についてのエントリーは全て「私(さいとう)がこうした」という形で記述していくので、その点ご留意のうえ、おつきあいしていただければと思います。

ということで、自分が今回コミティアに参加して同人誌を出してみた動機なのですが、これについてはいくつか複合的な要素があり、それを段階順に説明していきます。

 

 動機1 日々の労働と田舎暮らしにうんざりしていた
それに抗うために、去年からは三ヶ月に一度東京へ行ってコミティアに一般参加したり、街で買い物をしたりしていたのですが、それだけでは物足りないことに気づき始めました。

動機2 川崎昌平さんの「労働者のための同人誌入門」に触発された

三ヶ月に一度コミティアに一般参加しようと、「ただの消費者」「外野」であることに変わりはない。そんな虚しさを感じつつあった頃、ちょうどコミティア123のサークルカタログでこの本(同人誌)の存在を知り、読んだみたところまさに自分のために書かれたような本で、とても影響を受けたのでした。
「つらい生活と、つまらない自分……その双方を変化させうるものは、断じて『消費』ではない。『表現』である。(vol.1 序文より)」
自分の頭の中でなんとなく思っていたことでも、ティアマガの表紙を飾るほどの先達にこう断言されると「やはりそうか!」と気付かされるわけで、動機1のところで感じていた日々の物足りなさを埋めるためには、創作しかないのだと、そういう結論に至る大きな動機となった本でした。

動機3 このブログをやりだして、他の方の作る同人誌に触発された
これはかなり大きい要素かなと思います。SNSでバズっているものだけではなく、多様性のあるいろいろな百合作品に触れて、うわあ何やってもいいんじゃん、自分もやってみてえ、という気になったというか。
あと、私は百合作品だと昔は女性作家のものばかり読んでたのですが、男性作家でも面白い作品を描く方がたくさんいることを知り、男が描く百合はフェイクじゃないんだ、と勇気づけられたのも大きいかなと思います。

動機4 加齢により、どうでもよくなった
若い頃から創作活動をやりたいという気持ちはあったし、コミティアにもかなり昔から一般参加をしていて、サークル参加も面白そうだなーとはずっと思っていたのですが、いろいろと頭でっかちな言い訳をつけて踏ん切りがつかなかったまま結構な歳になってしまいました。しかし歳を重ねたことにより、挫折をするのも恥をかくのも慣れてしまったのか、そういった言い訳のひとつひとつがどうでもよくなり、軽いノリでやってみよう、という気になったのも大きい気がします。
とはいえ本当は、若い感性があるうちに創作活動をやっておいたほうが良いにきまっているので、皆さんには何歳であろうと軽いノリで創作活動をやってほしいものです。

とまあ、自分の動機について触れてみましたが、動機なんてなんでもいいと思います。でも何かしらの動機がないと、人前に自分(の腕前と頭の中)を晒す恥ずかしさという障壁を超えられないのも事実だと思います。子供の頃から創作者を夢見てずっと実行に移してきた人だけが創作をしていいということは決してなく、誰もが創作活動をしていいし、そのための場所はこの国にたくさん用意されていて、自分の場合はコミティアを選んだというだけのことです。

とうことで、次回はコミティアへの参加申し込み~執筆までの流れについて書こうと思います。

 

※おまけ1 「川崎昌平『労働者のための同人誌入門』について」

川崎昌平さんの「労働者のための同人誌入門」(全4巻)は、何のとりえもなく日々の労働に消耗していた主人公が、ゼロの状態から同人誌を作りはじめることにより、日常に何かしらの変化がもたらされるという作品です。変化といっても、売れっ子の同人作家になるとかプロになるとか、そういったことではなく、ジョブ(労働)とワーク(同人誌づくり)を両立させることにより、生活(人生)の質を少しだけ上げていこう、という本だと思います。
「なぜ同人誌を作るのか」という動機の点については、自分のこのエントリーよりもよっぽど参考になる本なので、ぜひ入手して読んでいただきたいと思います。
通販や電子書籍の取扱いは以下のとおり。全巻揃っているところがないので、次のコミティアにて川崎昌平さんのスペース(polocco)で直接買うのが一番早いかもしれません。

COMIC ZIN(vol.2・3のみ ※9/8現在)
シカク(vol.1・3・4のみ ※9/8現在)
Amazon kindle(vol.1のみ)(kindle unlimitedもあり)

ちなみに、同じく川崎昌平さんによる商業単行本で「労働者のための漫画の描き方教室」(春秋社)という本も最近出版されていて、私は最初「同人誌入門」の改訂版のような内容なのかなと思って買ってみたんですが、中身はそれと全く異なり、かなり難解な奇書でした。これはこれで大変面白いのですが、「軽いノリで創作活動をやる」向きの本ではなく、「同人誌入門」のほうがずっとその向きのある本となっているので、最初は「同人誌入門」を読むことをお勧めします。


※おまけ2「なぜコミティアなのか」

単に、自分が定期的に足を運んでいる同人誌即売会がそれだけだったので、馴染み深かったというだけです。
別に創作活動をするなら二次創作でもいいし、TwitterやPixivなどのSNSでもいいと思います。というか、今日びほとんどの同人作家さんはそこからスタートしていると思いますし。

ただ、SNS同人誌即売会の大きな違いは「タイムリミット(締切)」があるという点で、発表するタイミングについて完全な自由が与えられているSNSだと、完璧な出来栄えにこだわって(という言い訳をつけて)いつまでたっても創作を完成させられない場合があるのに対し、同人誌即売会は当日までに本を作らないと参加費をドブに捨てることになるという一定のプレッシャーがあり、それが創作に着手し完成させるための大きな動機付けになることは間違いないと思います。

ついでに、私はコミティア以外の同人誌即売会をそんなに知らないので他との比較はわからないですが、なんとなくコミティアは「フラットに評価される場」という印象がありました(個人的な偏見だけど、SNSはそうではないという印象)。SNSでたくさんのフォロワーを抱えていなくても、宣伝が上手でなくても、立派な見栄えのする本でなくても、見る人は見てくれているというか。見本誌コーナーもあるし。
実際参加してみて、自分がブースに座っている時間は多分10分もなかったのですが、その短い間でもチープな表紙のコピー本を手にとって見てくれる方がちらほらいたのに驚きました。

 

PLUGLESS おもて、その後/むっしゅ(煮込みオムライス)【漫画】

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今夏に初の商業単行本「ふりだしにおちる!」が発売されたむっしゅさんのコミケ新刊。
お互いまともに会ったのは一度きりだけど気になる者同士、ふたりを繋ぐものは、無理やり貸し付け(られ)たアコースティックギター。恋が始まる瞬間を描いた胸がキュンキュン鳴りっぱなしな最高の一作。

タイトル
PLUGLESS おもて、その後
サークル
煮込みオムライス
作家
むっしゅ(Twitterpixiv
発行
2018.8(コミケ94)


【販売】



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